デジタルデザイナーの毎日を楽しくするWebメディア、「unprinted」の構想段階からリードデザイナーとして参加させていただき、ビジュアルアイデンティティの構築からサイトのデザインまでを担当しました。
楽しい空間を作るためのデザインコンセプトとして、「遊び心のあるデザイン」というワードを提案しました。無駄を無くした客観性、清潔性、可読性に重きを置いたデジタルデザインの原則の中に、遊び心を加えることで、デザインすることの純粋な楽しさを感じられるようなサイトにしたいという思いがあったからです。
ここで言う「遊び心のあるデザイン」とは、次のようなものと捉えています。
「お馴染みのもの」に工夫が加えられたデザイン。
多くの人が見たことがあるものに、何か面白さやアイデアを含んでいる。そのような、共感と想像する楽しさを同時に感じられることが「遊び心」なのではないかと考えました。
「プリントされていない」を意味するunprintedの"un"をモチーフにして、デザイン作業で日常的に使用する「パスツール」や「デジタルペン」で、ラフに描いたようなシンボルマークをデザインしました。ロゴタイプには、可読性がありながら人間味があることが特徴の、ヒューマニスト・サンセリフ体"Myriad"を使用しています。デジタルデザイナーに共感を持ってもらえるようなロゴにしたいという考えで、Web環境での優れた視認性を持ち、「自由さ」と「つながり」を感じられるデザインを目指しました。
また、シンボルマークはグラフィックエレメントとしても機能するよう、伝えたいメッセージに合わせて可変させることができる「ダイナミック・アイデンティティ」の手法を採用しています。
ブランドカラーやサイトに使用していくカラーパレットの定義にあたっては、「自然界の色彩に合わせること」をポイントの一つにしています。
ブランドカラーの「シアン」は、空をイメージした暖かみのある明るい青を再現しています。「青」は知的・信頼・安心というイメージから、多くのサービスのブランドカラーとして使用されている定番の色であり、特にテクノロジー分野では視認性を重視した紫寄りのビビットなトーンで使用されることがよくあります。unprintedが使用する青は、より自然界で見られる黄み寄りの青に近づけた「シアン」を採用し、彩度もソフトな方向で調整しました。
この「シアン」をキーカラーに、サイトを構成するブランドカラー、記事のカバー画像などのグラフィックに使用するカラーパレットを定義していきました。
ブランドカラー
カラーパレット
「遊び心のあるデザイン」を具体的に表現する方法として、次の2つをグラフィックエレメントの基本としました。
1つは、◯△□に代表される基本図形です。シンプルで規則的な性質を持つこれらの幾何学図形は、子供の頃に遊んだ積み木のような「お馴染みのもの」であり、無限に創造できる楽しさを持っています。
もう1つは、モノラインでの表現です。パスツールで描いたような均一な太さの線はデジタルデザイナーにとって馴染みがある描画方法です。どのように描かれたかが想像しやすいことで、制作に参加しているような、共感するスペースを作ります。